お金では買えない、やる気を引き出す仕組み

近年、「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が人事領域で注目されています。実際、世界の従業員のうち職場に積極的に関与していると感じている人は、わずか15%にとどまるという調査結果もあります(TeamStage Motivation Statistics 2024より)。こうした状況下で、従業員のモチベーションとエンゲージメントを維持することは、企業にとってますます重要な課題となっています。

 

報酬といえば金銭的なインセンティブを思い浮かべがちですが、非金銭的な報酬も同様に、あるいはそれ以上に効果的な場合があります。職場文化の向上や従業員満足度の改善、さらには定着率の向上にもつながるため、企業がこうした施策に注力することは、従業員に「大切にされている」と感じてもらううえで極めて有効です。

 

ここでは、従業員の意欲を高める5つの非金銭的報酬をご紹介します。​

1. 日常の「ありがとう」で士気を高める

上司からの日常的な称賛や感謝の言葉は、従業員の士気を大きく高めます。努力や成果を定期的に認めることで、従業員は自分の仕事が評価されていると実感できます。これにより達成感が増し、さらなる成果を目指す意欲が高まります。

2. 成長を支援する学びの機会を提供

従業員の成長に投資することは、企業と従業員双方にとって有益です。研修プログラムやワークショップ、外部セミナーなどの機会を提供することで、企業が従業員の将来を真剣に考えている姿勢を示せます。新たなスキルや知識の習得は、従業員の忠誠心やエンゲージメントを高める要因となります。

3. 柔軟な働き方でワークライフバランスを実現

柔軟な勤務形態は、従業員満足度を左右する重要な要素です。勤務時間の調整や在宅勤務の選択肢を認めることで、仕事と生活のバランスが取りやすくなり、ストレスの軽減や生産性の向上につながります。従業員の個別の事情に配慮することで、より包摂的で支援的な職場環境が築かれます。

4. キャリアパスを明確にし、未来を描かせる

社内での昇進やキャリアパスの明確化は、従業員にとって大きなモチベーションとなります。成長の機会があると認識できれば、従業員は長期的な視点で企業に貢献しようとする意欲が高まります。定期的なキャリア面談やメンター制度の導入は、従業員の職業的な成長をさらに後押しします。

5. 自律性を尊重し、信頼でつなぐ職場文化

業務に対する裁量や意思決定の権限を与えることで、従業員の主体性と意欲が高まります。信頼されていると感じることで、自ら進んで行動し、役割に対する責任感が育まれます。これは自信の向上だけでなく、革新性や責任感のある職場文化の醸成にもつながります。

あなたの組織を強くするために

非金銭的報酬は、従業員のモチベーションとエンゲージメントを高めるうえで欠かせない要素です。称賛や感謝の言葉、成長の機会、柔軟な働き方、キャリア支援、自律性の尊重といった取り組みを通じて、企業は従業員が安心して力を発揮できる環境を整えることができます。こうした支援は、従業員の満足度を高めるだけでなく、組織全体の成功にも寄与します。

 

最も重要なのは、従業員のキャリアと生活を大切にし、可能な限りの支援を提供する姿勢です。